新しく家庭を持たれ、初めて親戚の法事に招かれたあなた。
当日の持参品や服装などがわからず、戸惑われたことはありませんか?
最近テレビなどで紹介されている一般的な心得では、
「浄土真宗の教え」に合わない場合が少なくありません。
そこで、法事(正式には、年忌法要といいます)の場合を例に挙げ、
浄土真宗の心得や作法についてわかりやすく紹介していきたいと思います。
まず、包みものですが、市販されたものの中には「御仏前」あるいは「御霊前」と書かれた金封があります。
ここで押さえておかなければならないのは、「御霊前」は絶対に使用しないということです。
法事とは、亡き人を偲びつつ、真実の仏法に出遇う大切な「場」であります。
浄土真宗では、神や霊を必要としない生き方を説く「本願念仏の教え」です。
ですから「御霊前」という表書きは使わないのです。
次に「御仏前」は、一般的によく使用されますが、
むしろ「御香儀(ごこうぎ)」「御香資(ごこうし)」や「御香典」とするのが最もふさわしい書き方でしょう。
なぜなら、浄土真宗において最も大切なお経である『仏説無量寿経』には、
「香気(こうけ)普く薫ず」や「華を散じ香を焚きて、これをもって回向(えこう)として」とあり、
私たちが「薫香(かおり)」をもって仏前に奉ずることが説かれています。
薫香は、清浄(しょうじょう)なる気持ちを起こさせるためのものでもありましょう。
その薫香の「お香」の代物として、現金をお供えするのですから、
「御香儀」「御香資」や「御香典」と表書きするのが、本来の意味からいってふさわしいわけです。
また当日の服装については、例えば通夜から四十九日(満中陰)までは、喪服が望ましいでしょう。
法事の場合は、地味な平服で清楚な服装であれば問題ないと思います。
法事に参列する場合は、必ず念珠(ねんじゅ・数珠)を忘れずに持参することが大切です。
合掌