念珠(ねんじゅ)は数珠(じゅず)ともいい、仏前で合掌礼拝する時には、必ず欠かせないものです。
念珠を持たないでは「仏をば手づかみにこそせられたり。親鸞聖人、まったく、念珠をすてて仏をおがめとおおせられたることなし」と、
蓮如上人は、「真宗門徒」の日々の念仏生活の姿勢を確かめておられます。
そもそも仏事とは、亡き人を偲ぶとともに、それをご縁にして仏法を聴聞して、仏さまに合掌礼拝する「場」であります。
そしてこの合掌は、自ら「三宝(さんぼう・仏・法・僧)」に帰依する心持ちを表現したものであります。ですから、仏事には「念珠」が欠かせないのです。
合掌とはもともと、インドで古くから行なわれてきた礼儀作法で「敬意」を表します。
今日でも、南アジア諸国では人々が出遇った時に、お互いが合掌するのは、私たちの「お辞儀」に相当する礼法として伝わっていきました。
さて合掌の作法ですが、両手を合わせ、念珠を親指と人差し指の間にかけます。
合わせた両手の手首が「みぞおち」の辺りにくるように自然に手を合わせます。
なお、合掌の際、念珠をこすり合わせ音を出すことはしません。
そして指と指の隙間をつくらず、指先を真っ直ぐに伸ばします。合掌の姿を横から見ますと、手の線は、身体の線に対して、おおよそ「四五度の角度」になります。
次に、お参りする時の念珠のかけ方を説明します。一輪(ひとわ)念珠の場合の合掌は、房を下にして、念珠の輪の中に両手を通し、親指で軽く押さえます。
二輪(ふたわ)念珠の場合は、親指のところでふたつの親玉をはさみ、房を左側に下げます。なお、合掌しない時は、念珠を「左手」に持ちます。
以上ご説明したように、念珠は手にかけて合掌するための仏具です。念珠は畳の上に直接置いたりせず、念珠袋などに入れ大切に扱いましょう。
合掌